馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

牧村朝子 『百合のリアル』 星海社新書

ちょこっとだけ読んだ。 これいいなあ。そのうちちゃんと読みたい。 セクマイの本。だけど、みんなのセクシュアリティの本。 レズビアンというのはこういう人ででもこういうケースもあってゲイはこういう人だけどこんなパターンもありでトランスの人とこう重…

東小雪+増原裕子 『ふたりのママから、きみたちへ』 よりみちパン!セ

子供を生み育てることを検討中のレズビアンカップルが書いた「レズビアンとは」の本。 それだけでなく、マイノリティとして生きる、みんなが生きやすい多様な世界のための本でもある。 セクシュアリティのことも、セクシュアリティだけじゃない生きにくさの…

オスカー・ワイルド『幸福な王子』新潮文庫

「幸福な王子」はオスカー・ワイルドの有名な童話。 西村孝次翻訳の新潮文庫で読んだ。キラキラした銅像の王子に頼まれて、ツバメが越冬をずるずる先送りしながら王子の身ぐるみを剥いで貧乏人に配ってまわる、緩慢な自殺幇助みたいな話。 素直に本を読んで…

堀江有里『「レズビアン」という生き方―キリスト教の異性愛主義を問う』 新教出版社

牧師でレズビアンの著者が語る日本の今のキリスト教会内の異性愛主義。 キリスト教という宗教の中の、ではなく日本のキリスト教会という団体内の話。 なんか宗教上どうのっていうより保守というか躾のなってないおっさんに牛耳られた団体ゆえの問題、という…

菅野文『オトメン』白泉社

何年か前に何冊か読んだ少女漫画。 この話の主人公は容姿端麗文武両道品行方正で性格もいい男の中の男。 でも実は乙女趣味(シスジェンダーヘテロだけどガーリーなのが好き)。 男らしく育てたい母親の期待に応えてしっかり男をやっていて、だからかわいらし…

水谷フーカ 『14歳の恋』1,2 白泉社

大人びた外見の男の子と女の子の恋がメインの思春期漫画。 思春期ど真ん中の過剰な自意識に阻まれて、人目が気になるあまりに好きな人と一緒に帰ることさえできない。 そんな14歳のお話。 このこたちが気にしているのは大人からみればものすごくどうでもいい…

竹宮ジン『ラブフリッカー 』一迅社

女子×女子のちょっとつながってる短編漫画集。 セクシュアリティの在り方が普通なのがすごくいい。 ヘテロが上から目線で「ああかわいそう」「ああ切ない」と消費するための百合じゃない。 無自覚なヘテロが押し付けてくる葛藤萌えや悲恋ドリームなんか歯牙…

竹宮ジン 『想いの欠片 1』 白泉社

レズビアンもヘテロもゲイもいるオムニバス漫画。色んな子の当たり前を当たり前に描いている。 かっこいいレズビアンもずるいヘテロもアホなゲイもみんな魅力的。"性別じゃなくて人によるんじゃないかな"というセリフの通り、その人だからこその魅力が表現さ…

遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』小学館

まじめにかかれた若年層向けセクマイ小説。 マンゴスチンの恋人 (小学館文庫) 作者: 遠野りりこ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/09/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る マンゴスチンの恋人 著者 : 遠野りりこ 小学館 発売日 : 2011-08-29 …

デイヴィッド・ウォリアムズ『ドレスを着た男子』福音館書店

綺麗なお洋服が好きな男子が綺麗なお洋服が好きな女子と出会う。女子の提案(というか軽い悪ふざけ)で男子は女の子の服を着てみる。 そんな児童書。 いい意味でも悪い意味でもマイノリティ性が軽い。 誰もが持つ当たり前の人と違う部分、という軽やかさと、…

ルースマニング=サンダーズ 『魔女の本』

子供のころ大好きだった、テーマ別民話選集。 復刊ドットコムありがとう!これは一番好きだった魔女の本。 あれ、魔女わるくないよな?どっちかってぇと主人公たちがひどいのが多いよな?魔女の話はかなしい。昔はわくわくするだけで良かったのに、今は魔女…

清水尚『All we need is Love』講談社

アメリカの(?)同性カップルとその子どもたちの写真集。 食事をしたり、テレビを見たり、おもちゃで遊んだり、プールに入ったり、ひなたぼっこをしたりする、普段暮らしている場所での家族の風景。 なんかもう、すっごいにやにやする。 裕福そうな白人男性…

ビッグイシュー152号

わりと近くで売っているのに、タイミングが合わなくて買えずにいたビックイシュー152号をやっと買った。10月1日発売の分。 ちなみに1日と15日の月2回発行だけど、販売員さんに言えばバックナンバーも売ってもらえるみたいです。 152号はムーミンの作者、トー…

岩下久美子『おひとりさま』中央公論新社

今時な意味での「おひとりさま」という言葉は、「ひとりみを楽しむ女性のこと」とかいう 定義になってしまっている。 だけど最初に言い出した人は、 まさに「おひとりさま」をできないことに抗議の声をあげていた。 たぶんこれ↓ おひとりさま 作者: 岩下久美…

三井マリ子『ノルウェーを変えた髭のノラ』明石書店

本に、ノルウェーのクウォータ制について書かれていた。 クウォータ制というのは、 ある場所にいる人の属性の比率が不平等によって偏っているなら それを是正するよう義務付けましょうという制度。 たとえば国会議員が男性ばかりだから女性議員を○%以上にし…

砂川秀樹『カミングアウト・レターズ』太郎次郎社エディタス

近くから「結婚しろ」とか「家族は必要だよね」的なことを言われました。 しにたいです。 そういえばカミングアウトレターズを読みました。 2年くらい前に。 感想書こうと思ってメモをしたのにそのまま忘れてました… カミングアウト・レターズ 作者: 砂川秀…

『タンタンタンゴはパパふたり』

動物園のペンギンが主役の、実際にあった話をもとにした絵本。 放棄された卵をオス同士のつがいにあてがってみたら無事に育てたよ。という話。 翻訳はオープンなレズビアンとして初めて府議になった尾辻かな子さん。 同性カップルも育児放棄もそれを拾う養い…

エリザベス・フェラーズ トビーとジョージシリーズ 創元推理文庫

1940年代に書かれたバディもの探偵シリーズ。 当時の現代小説だから舞台が古いけれど、人の描き方に古さがないから今読んでも違和感がない。 進歩的ってわけじゃなくて、普遍。 古典の名作を読むと人ってそうそう変わらないんだなって思う、あの感じ。 女だ…

宮部みゆき『模倣犯』小学館

主要キャラクターのひとり、高井和明は善良でまぬけで不器用だ。凶悪な犯罪の正体を理解したとき、大事な友達だけを必死で助けようとする。 ひとりに執着してるけど、方向性としてはホモソーシャル。 彼は個人プレーがひきおこす「よくないこと」の可能性が…

西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』講談社

久世光彦に騙された・・・。 電車内で時間が余ってかつ他に手持ちの本がなく、座れなかったから寝るわけにもいかず、たのみのウォークマンは電池切れだった。 という状況下だったので読み終えました。 不快。 とても不愉快。 平行して読んでいたのがDV加害者を…

シャーリーン・ヘス=バイバー『 誰が摂食障害を作るのか』新曜社

今、「誰が摂食障害を作るのか-女性の身体イメージとからだビジネス」という本を読んでいます。 半分くらい読んだところです。・・・気持悪くなってきた。 メリケンの話だけどメリケンかぶれの日本にも通用すべえということで紹介されたらしいです。 従来の「…

平野広朗『アンチ・ヘテロセクシズム』パンドラ

いやなことは「いやだ」と言う。 こんな当たり前のことが、これまで、ゲイにはできなかったのだ。 平野広朗『アンチ・ヘテロセクシズム』パンドラ タイトル通り、異性愛至上主義の社会にNOを言うのがこの本。 94年出版ですが、ほぼ90年や91年に書かれたもの…

梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』角川書店

――エフェンディ、あんたは真実を勉強するんだ。 村田エフェンディ滞土録 (角川文庫) 作者: 梨木香歩 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2007/05 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 40回 この商品を含むブログ (123件) を見る 家守綺譚と同じ世界観で書か…

50歳からのふれあいボランティア~夫や子供に尽くすだけが人生じゃない!

いつも利用する図書館で、いつもいつも目が行ってしまう背表紙があります。 タイトルが気になるだけで、読んでいませんから内容はわかりません。 だから今回は書評ではなくタイトル評です。そこのところはお間違いなきように。 主婦ボランティア研究会 『5…

レベッカ・ブラウン『体の贈り物』

死ぬのって、救いになりうると思う? 体の贈り物 (新潮文庫) 作者: レベッカブラウン,柴田元幸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2004/09/29 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 28回 この商品を含むブログ (78件) を見る 末期のエイズ患者の世話をするヘル…

遥洋子『働く女は敵ばかり』朝日新聞社

私は感嘆した。ここまで通じない!男らしさが微塵の疑いもなく確立されている世界では「結婚したくない」と言ったら、「だから結婚できない」となった。いや、だから結婚したくないんだってば・・・と終わらなかった。この通じなさは感動ものだった。 遥洋子『…

桐野夏生『グロテスク』 Aセク読み

本を読むとき、気に入ったフレーズをメモしています。 あとで思い出すよすがになるし、引用にも便利。 どこが印象に残るかで、自分の今の状態がわかったりもします。 で、そんな気になる言葉たちをながめていました。 桐野夏生『グロテスク』の言葉です。 ま…

桐野夏生『グロテスク』

天上には蛍光灯が埋まっていて、あたしの顔色を青く冴えなくする。だから、いつも赤い口紅を塗っていなくてはいけない。口紅とバランスを取るために、アイシャドウも青く。そうなると目と口だけが目立つから、眉も濃く描かなくてはバランスが取れない。どん…

梨木香歩『家守綺譚』

――おまえにそれを語る言葉を、俺は持たない。 人の世の言葉では語れない。 ――しかし俺はそれを言葉で表したいものだと思う。 家守綺譚 (新潮文庫) 作者: 梨木香歩 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/09/28 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 69回 こ…

ジャッキー・ケイ『ストローガール』求龍堂

ほんとうに守りたいものがあるなら戦え。 じぶんの手から離れていくのをだまってみているな。 じぶんの手には負えない、なんていってはだめ。 そんなことをいってると最悪の事態になる。 あたしにできることはまだいくらでもある。 『ストローガール』ジャッ…