馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

セクシャルマイノリティ

NHKプレミアムドラマ『弟の夫』(第1回)

NHKプレミアムドラマ(全3回)の一回目。タイトルのとおり、亡き双子の弟の夫と会うことになったシングルファーザーの物語。 ゲイの話らしいのにLGBTドラマ、みたいなあおりがついていたから警戒しながらみた。制作と宣伝は別とはいえ、原作がよくてもメジ…

三田織『白のころ』東京漫画社

BL漫画の短編集。セクシャルマイノリティものではなく、ほのぼの系日常BL。だけど、「まほうのおくすり」の親子関係が妙にリアルでなんかうわーってなった。Xメンのキュアみたいなおくすりをつくりたいおかあさんの息子の話。描き方は重くない。おかあさ…

那木渡『恋愛不行き届き』竹書房(ネタバレあり)

ずっと互いに好きというか性的な目で見てたけど、なんやかんやでこじれまくるふたりが主役のBL漫画。クローゼットなゲイ(自覚あり、自覚なし)の大暴走な話なんだけど、そうならざるを得ない背景がきちんと存在しているのが面白いと思った。 あとがきに「(…

手塚治虫 『MW』 小学館

手塚治虫(黒)のピカレスク的漫画。 ページのわりに内容がものすごく濃い。 主役の男二人がほのめかしじゃなく性的な関係を結んでいるので、社会派な内容だけどセクマイ面の感想だけ書きます。 MW(ムウ) 小学館文庫 全2巻セット メディア: セット買い この…

枝屋初 『ばけむこ』

セクシュアリティゆらぐなめくじファンタジーな和風web漫画(?) 説明がへたすぎて意味が分からないとおもうけれども、そういう話!すごい! ちゃんとなめくじがなめくじ!かたつむりもでるよ! かたつむり好き的にもマイナーなセクマイとしてもうれしすぎ…

小野ハルカ 『桐生先生は恋愛がわからない。』 小学館

まったく読む気のおこらないラノベ風タイトルのせいで萌え系とかハーレム系とかの恋愛漫画かと思ってたら、まさかの王道ハーレムに疑義を呈するAセク漫画だった! 主人公は生れてこのかた恋愛感情を抱いたことも恋にあこがれたこともない人。 アセクシャルか…

『RENT』20周年記念来日公演

年末に、RENTの来日公演を観てきた。 RENTは90年代アメリカを舞台にしたミュージカル。 ボヘミアンな若者たちの1年間…なんていえばいいんだろう。あらすじ難しい。 とにかく曲が良い。 『I’ll Cover You』(ゲイカップルのものすごくかわいいラブラブ曲)…

セクシュアリティの多様性を踏みにじる暴力と虐待―差別と沈黙のはざまで (アムネスティ・ジェンダーレポート)

好きな服を着るとか、好きな言葉づかいでしゃべるとか、好きな人と双方合意の上でつきあうとか、そんな「罪」をおかした人たちがどんな目に合わされたのかをつづったリポート。 差別なんてないよとか言ってる人や事情がわかっていない人にこそ読ませたい。ヘ…

少年アヤ『少年アヤちゃん焦心日記』河出書房新社

アイドルにはまってて占いに依存して物質依存でオカマで機能不全家庭出身でアート系?で物書き?で……と、いろいろ濃いアヤちゃんの日記。 日記という体裁のエッセイとか評論とも見える。 ジェンダーとかアイデンティティとかマジョリティの鈍さとかの傷がわ…

針間克己 『セクシュアル・マイノリティへの心理的支援―同性愛,性同一性障害を理解する』岩崎学術出版社

タイトル通り、心理職がセクシャルマイノリティのクライエントとかかわるための論文集。 副題がセクマイ=ゲイと性同一性障害かよ、という不安を誘う。 が、同性愛と性同一性障害に対象をしぼったのは執筆陣の経験や先行研究からきちんと書けるのはここだけ…

よしながふみ『きのう何食べた?』講談社

前から知っているし読んでいるんだけど、ふとこれはセクマイ待望の「セクマイが主役のただの漫画」なんだなって思った。 著者がBL作家の女性だからついBLのくくりで認識していたけれど、これは「BLコミック」でも「ゲイ漫画」でもなく、「料理漫画(主役はゲ…

セクシュアリティの定型と越境

最近たてつづけにアメリカのセクシャルマイノリティの本を読んだ。 読んだのは大人のゲイカップルが書いた本と、大人のゲイカップルを書いた本と、十代のトランスジェンダーたちに話を聞いた本。 3冊だけだけど、日本とは拒否反応のポイントがちょっと違う…

中村安希『リオとタケル』集英社インターナショナル

アメリカで成功を収めた演劇デザイナーカップルのノンフィクション(プライバシー保護のためフェイクあり)。 タケルは24歳で渡米した1949年生まれの日本人、リオは1953年ワシントン生まれの白人。 1976年に出会ってからずっと一緒に生きてきた。 著者はふた…

森奈津子『姫百合たちの放課後 』早川書房

アホでエロなレズビアン小説集。再読。 基本アホ。一皮むいてもアホ。 でもマイノリティの気持ちがぎっしり。 今現在の本気の思いを大人目線でわかった風に「誰でも通る道よ」なんてあっさり片付けてしまうことのひどさは、している側にはなかなかわからない…

パトリック・ジョセフ・リネハン『夫夫円満』東洋経済新報社

大阪・神戸アメリカ総領事館総領事(2011-2014)のパトリックと、その夫エマーソンの夫夫の半生記。 生まれも育ちも年齢も違うふたりの愛と、ゲイライツが主題。 文化的背景や感覚が私とは違うから違和感があったり、ふたりともゲイだからゲイ以外には疎いよ…

スーザン・クークリン『カラフルなぼくら』ポプラ社

アメリカで暮らす十代のトランスジェンダー六人へのインタビューをまとめた本。 トランスなのに副題がLGBTなのは、TのLとGとB(とI)の子たちの話だから。 他国の十代の生き様や考えを知ることができる良書。 語られるのはトランスの話だけど、この子たちが…

東小雪『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』講談社

『ふたりのママからきみたちへ』の筆者のひとり、東小雪さんの手記。 ということだけで手に取ったら大変だった。 でも納得もした。 こういう経験をして、乗り越えてきた人だからこれだけ考えられるんだろうとか、そういう部分で。 セクマイの本棚にいれるか…

水谷フーカ 『14歳の恋』3 白泉社

「大人っぽい」14歳どうしの思春期恋愛漫画。 主人公カップルもかわいいけど脇役好きだー。 まずは志木さん!今回もかわいいな! 自分で思ってるよりずっといい子でヤンデレになれない子。 実るかつったら(相手が強固なカップルだから)そりゃ難しいけれど…

東京MXテレビが虹色応援してた

東京MXテレビが東京レインボーウィーク2014応援企画ってのをやってた! http://s.mxtv.jp/cinema/20140420/ 気づくの遅かったー!でも嬉しい! TOKYO MXは自分で考えて作ってる感じが好きだー。 ローカル局とはいえ日本のテレビ局がこういう企画をできるなん…

中村明日美子『片恋の日記少女』白泉社

王道じゃない恋のお話の短編漫画集。絵が独特で面白い。マリオネットみたいな印象。バランスが悪い?というか、人のバランスとは違うけれど均整は取れている。 最初の『漢のブリ大根』がトランスジェンダーの子の話。実家を出て親には告げずに女子(というか…

牧村朝子 『百合のリアル』 星海社新書

ちょこっとだけ読んだ。 これいいなあ。そのうちちゃんと読みたい。 セクマイの本。だけど、みんなのセクシュアリティの本。 レズビアンというのはこういう人ででもこういうケースもあってゲイはこういう人だけどこんなパターンもありでトランスの人とこう重…

東小雪+増原裕子 『ふたりのママから、きみたちへ』 よりみちパン!セ

子供を生み育てることを検討中のレズビアンカップルが書いた「レズビアンとは」の本。 それだけでなく、マイノリティとして生きる、みんなが生きやすい多様な世界のための本でもある。 セクシュアリティのことも、セクシュアリティだけじゃない生きにくさの…

堀江有里『「レズビアン」という生き方―キリスト教の異性愛主義を問う』 新教出版社

牧師でレズビアンの著者が語る日本の今のキリスト教会内の異性愛主義。 キリスト教という宗教の中の、ではなく日本のキリスト教会という団体内の話。 なんか宗教上どうのっていうより保守というか躾のなってないおっさんに牛耳られた団体ゆえの問題、という…

水谷フーカ 『14歳の恋』1,2 白泉社

大人びた外見の男の子と女の子の恋がメインの思春期漫画。 思春期ど真ん中の過剰な自意識に阻まれて、人目が気になるあまりに好きな人と一緒に帰ることさえできない。 そんな14歳のお話。 このこたちが気にしているのは大人からみればものすごくどうでもいい…

竹宮ジン 『想いの欠片 1』 白泉社

レズビアンもヘテロもゲイもいるオムニバス漫画。色んな子の当たり前を当たり前に描いている。 かっこいいレズビアンもずるいヘテロもアホなゲイもみんな魅力的。"性別じゃなくて人によるんじゃないかな"というセリフの通り、その人だからこその魅力が表現さ…

セクマイ向け公立高校のドキュメンタリー

NHKに世界のドキュメンタリーという番組があります。 その名のとおり、海外のドキュメンタリーを放送する枠。 そんでとりあえずこれは!これだけは書いておかねば!と思った。 <シリーズ 世界に生きる子どもたち> 告白・カミングアウト 去年アメリカで、ボ…

砂川秀樹『カミングアウト・レターズ』太郎次郎社エディタス

近くから「結婚しろ」とか「家族は必要だよね」的なことを言われました。 しにたいです。 そういえばカミングアウトレターズを読みました。 2年くらい前に。 感想書こうと思ってメモをしたのにそのまま忘れてました… カミングアウト・レターズ 作者: 砂川秀…

「<境界を生きる>性分化疾患」

毎日新聞でインターセックスにスポットライトをあてる記事が出ている。 世界陸上で人身御供がでたおかげで注目され始めたらしい。 以前にもオリンピックでメダル剥奪とかあったらしいけど。 なんにしても認識されるのは(されないよりは)良いことだ。 で、…

平野広朗『アンチ・ヘテロセクシズム』パンドラ

いやなことは「いやだ」と言う。 こんな当たり前のことが、これまで、ゲイにはできなかったのだ。 平野広朗『アンチ・ヘテロセクシズム』パンドラ タイトル通り、異性愛至上主義の社会にNOを言うのがこの本。 94年出版ですが、ほぼ90年や91年に書かれたもの…

メゾン・ド・ヒミコ

だいぶ前に見たんですが、そろそろDVDになるみたいですね。 非常に良かったです。以下ネタバレ注意。 舞台はゲイのための老人ホーム。 ってこの設定をみて、荒唐無稽なファンタジーと感じる人と、切実に必要だよね、あったらいいよねと思う人とで感想が変わ…