馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

ジェンダー

那木渡『恋愛不行き届き』竹書房(ネタバレあり)

ずっと互いに好きというか性的な目で見てたけど、なんやかんやでこじれまくるふたりが主役のBL漫画。クローゼットなゲイ(自覚あり、自覚なし)の大暴走な話なんだけど、そうならざるを得ない背景がきちんと存在しているのが面白いと思った。 あとがきに「(…

Booking.com: CM 男達がおいしい食を求める旅

Booking.comの CM 大好き。 若くもない男ふたりがいろんな場所で「うまかー」って言ってるやつ。 全力でおだやかに楽しんでいるのがかわいくて見ると幸せな気分になる。 男ふたりなのに女あさりも冒険も馬鹿騒ぎもせず、ただひたすら食べて満足げにしている…

手塚治虫 『MW』 小学館

手塚治虫(黒)のピカレスク的漫画。 ページのわりに内容がものすごく濃い。 主役の男二人がほのめかしじゃなく性的な関係を結んでいるので、社会派な内容だけどセクマイ面の感想だけ書きます。 MW(ムウ) 小学館文庫 全2巻セット メディア: セット買い この…

枝屋初 『ばけむこ』

セクシュアリティゆらぐなめくじファンタジーな和風web漫画(?) 説明がへたすぎて意味が分からないとおもうけれども、そういう話!すごい! ちゃんとなめくじがなめくじ!かたつむりもでるよ! かたつむり好き的にもマイナーなセクマイとしてもうれしすぎ…

オ・ジョンヒ『鳥』段々社

親にネグレクトされた幼い姉弟を徹底的に姉視点で描いた韓国の小説。 詩的な文章のおかげで雰囲気は幻想小説。 設定は『誰も知らない』に似てる。 でもお姉ちゃんと弟だから、かなしさの質が違う。 子供のかわいくなさがリアル。 こんな子供が近くにいたら不…

サザエさんのちバリバラ

成人の日まえの昨日、ひさしぶりに「サザエさん」を見た。 クリーニング屋の孝行娘が自分の成人式そっちのけで店の手伝いをしていて、父親である店主は本当は晴れ姿がみたいと思っている。それを聞いたイソノさんちが協力して晴れ姿をみせてあげるのも親孝行…

少年アヤ『少年アヤちゃん焦心日記』河出書房新社

アイドルにはまってて占いに依存して物質依存でオカマで機能不全家庭出身でアート系?で物書き?で……と、いろいろ濃いアヤちゃんの日記。 日記という体裁のエッセイとか評論とも見える。 ジェンダーとかアイデンティティとかマジョリティの鈍さとかの傷がわ…

タカハシマコ『スズラン手帖』一迅社

百合短編漫画集。 ひとつひとつの話はごく短い。 でもちゃんと、女の子と女の子の話。 絵がすごくかわいい。 こんな可愛いくせに苦さを含ませて強い。 かわいさを貫くために必要な強さを持ってる。 思春期のなんちゃらと片付けられてしまう思いを片付けさせ…

地声と女子声

テレビをつけたら、40年くらい前のトーク番組の一部が流れていた。 出演者の中で端っこのほうにいた女の人がものすごく印象的で、名前を調べて検索したらわりと有名なレズビアン(当時はクローゼット)だった。 うん、絶対セクマイだと思った。 私はあんまり…

セクシュアリティの定型と越境

最近たてつづけにアメリカのセクシャルマイノリティの本を読んだ。 読んだのは大人のゲイカップルが書いた本と、大人のゲイカップルを書いた本と、十代のトランスジェンダーたちに話を聞いた本。 3冊だけだけど、日本とは拒否反応のポイントがちょっと違う…

スーザン・クークリン『カラフルなぼくら』ポプラ社

アメリカで暮らす十代のトランスジェンダー六人へのインタビューをまとめた本。 トランスなのに副題がLGBTなのは、TのLとGとB(とI)の子たちの話だから。 他国の十代の生き様や考えを知ることができる良書。 語られるのはトランスの話だけど、この子たちが…

牧村朝子 『百合のリアル』 星海社新書

ちょこっとだけ読んだ。 これいいなあ。そのうちちゃんと読みたい。 セクマイの本。だけど、みんなのセクシュアリティの本。 レズビアンというのはこういう人ででもこういうケースもあってゲイはこういう人だけどこんなパターンもありでトランスの人とこう重…

堀江有里『「レズビアン」という生き方―キリスト教の異性愛主義を問う』 新教出版社

牧師でレズビアンの著者が語る日本の今のキリスト教会内の異性愛主義。 キリスト教という宗教の中の、ではなく日本のキリスト教会という団体内の話。 なんか宗教上どうのっていうより保守というか躾のなってないおっさんに牛耳られた団体ゆえの問題、という…

菅野文『オトメン』白泉社

何年か前に何冊か読んだ少女漫画。 この話の主人公は容姿端麗文武両道品行方正で性格もいい男の中の男。 でも実は乙女趣味(シスジェンダーヘテロだけどガーリーなのが好き)。 男らしく育てたい母親の期待に応えてしっかり男をやっていて、だからかわいらし…

デイヴィッド・ウォリアムズ『ドレスを着た男子』福音館書店

綺麗なお洋服が好きな男子が綺麗なお洋服が好きな女子と出会う。女子の提案(というか軽い悪ふざけ)で男子は女の子の服を着てみる。 そんな児童書。 いい意味でも悪い意味でもマイノリティ性が軽い。 誰もが持つ当たり前の人と違う部分、という軽やかさと、…

岩下久美子『おひとりさま』中央公論新社

今時な意味での「おひとりさま」という言葉は、「ひとりみを楽しむ女性のこと」とかいう 定義になってしまっている。 だけど最初に言い出した人は、 まさに「おひとりさま」をできないことに抗議の声をあげていた。 たぶんこれ↓ おひとりさま 作者: 岩下久美…

三井マリ子『ノルウェーを変えた髭のノラ』明石書店

本に、ノルウェーのクウォータ制について書かれていた。 クウォータ制というのは、 ある場所にいる人の属性の比率が不平等によって偏っているなら それを是正するよう義務付けましょうという制度。 たとえば国会議員が男性ばかりだから女性議員を○%以上にし…

私の希望は私だけが望める

教員だか元教員だかが、殺された教え子を偲んで絵だか本だか歌だかを作ったよというニュースをみた。 殺された女の子は生きていたら今いくつで、働いたり結婚したり子ども生んだりして、きっと幸せに暮らしていただろうに、無慈悲に未来を断ち切られてしまっ…

壺を買わないと不幸になります的な広告

近頃よく見にいくサイトで表示されるようになったDHCの広告が、悪い意味で非常によく目に付く。目に付くってか目障り。 特に目障りなのがやせるサプリメントだの美脚タイツだのの広告。 「短期で激ヤセ!?」「五日間からやせよう♪」などのギリギリ訴えら…

西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』講談社

久世光彦に騙された・・・。 電車内で時間が余ってかつ他に手持ちの本がなく、座れなかったから寝るわけにもいかず、たのみのウォークマンは電池切れだった。 という状況下だったので読み終えました。 不快。 とても不愉快。 平行して読んでいたのがDV加害者を…

シャーリーン・ヘス=バイバー『 誰が摂食障害を作るのか』新曜社

今、「誰が摂食障害を作るのか-女性の身体イメージとからだビジネス」という本を読んでいます。 半分くらい読んだところです。・・・気持悪くなってきた。 メリケンの話だけどメリケンかぶれの日本にも通用すべえということで紹介されたらしいです。 従来の「…

梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』角川書店

――エフェンディ、あんたは真実を勉強するんだ。 村田エフェンディ滞土録 (角川文庫) 作者: 梨木香歩 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2007/05 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 40回 この商品を含むブログ (123件) を見る 家守綺譚と同じ世界観で書か…

ランドセルのCM

「自分らしく生きていい」と 一言も教えてくれなかった学校を今でも恨んでいる。 岩村 匠(いわむら しょう)『性別不問』成甲書房より 最近のランドセルは色が多くて 選べていいなあと思ったんですが、そうでもないようです。 ランドセルのCMを見ていたら …

50歳からのふれあいボランティア~夫や子供に尽くすだけが人生じゃない!

いつも利用する図書館で、いつもいつも目が行ってしまう背表紙があります。 タイトルが気になるだけで、読んでいませんから内容はわかりません。 だから今回は書評ではなくタイトル評です。そこのところはお間違いなきように。 主婦ボランティア研究会 『5…

遥洋子『働く女は敵ばかり』朝日新聞社

私は感嘆した。ここまで通じない!男らしさが微塵の疑いもなく確立されている世界では「結婚したくない」と言ったら、「だから結婚できない」となった。いや、だから結婚したくないんだってば・・・と終わらなかった。この通じなさは感動ものだった。 遥洋子『…

桐野夏生『グロテスク』 Aセク読み

本を読むとき、気に入ったフレーズをメモしています。 あとで思い出すよすがになるし、引用にも便利。 どこが印象に残るかで、自分の今の状態がわかったりもします。 で、そんな気になる言葉たちをながめていました。 桐野夏生『グロテスク』の言葉です。 ま…

桐野夏生『グロテスク』

天上には蛍光灯が埋まっていて、あたしの顔色を青く冴えなくする。だから、いつも赤い口紅を塗っていなくてはいけない。口紅とバランスを取るために、アイシャドウも青く。そうなると目と口だけが目立つから、眉も濃く描かなくてはバランスが取れない。どん…

梨木香歩『家守綺譚』

――おまえにそれを語る言葉を、俺は持たない。 人の世の言葉では語れない。 ――しかし俺はそれを言葉で表したいものだと思う。 家守綺譚 (新潮文庫) 作者: 梨木香歩 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/09/28 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 69回 こ…

ジャッキー・ケイ『ストローガール』求龍堂

ほんとうに守りたいものがあるなら戦え。 じぶんの手から離れていくのをだまってみているな。 じぶんの手には負えない、なんていってはだめ。 そんなことをいってると最悪の事態になる。 あたしにできることはまだいくらでもある。 『ストローガール』ジャッ…