馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

2015-01-01から1年間の記事一覧

『戦場のメリークリスマス』

観たいなーと思っていたらちょうどクリスマスで放送されていたので観た。 というより、クリスマスが近づいたから観たくなったのかもしれない。 全然クリスマスっぽくないのにクリスマスものとしてインプットされているあの曲がやはり印象的。 デジタルの高画…

室生犀星『舌を噛み切った女 またはすて姫』新潮文庫

室生犀星の時代物短編小説。 芥川の平安ものとか坂口安吾の『桜の森の満開の下』とか、あの辺の雰囲気。 山賊の中で育った女が都の女と出会う。 なんとなーく雪の女王の山賊の娘を連想した。 あのこが悲しく大人になっちゃったようなお話。 野郎ども、とくに…

みんなのみんなのうた

テレビをつけたら「みんなのうた」が流れてた。 なんだかすごく耳に残った。 絵と歌詞にセクマイセンサーが反応した。 「ドミソはハーモニー」という曲らしい。 かわいい。 ちらっとしか聞けなかったんだけど、多様性っぽいテーマだった気がする。 みんな違…

リンダ・ハーン『王さまと王さま』ポット出版

王子様とお姫様がしあわせになる話しかないのは教育上よろしくないよね。ということで作られたオランダの絵本。 王さまと王さま 作者: リンダハーン,スターンナイランド,Stern Nijland,Linda de Haan,Andrea Germer,アンドレアゲルマー,眞野豊 出版社/メーカ…

志村真介『暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦』講談社現代新書

真の暗闇を体験するドイツ発祥のイベント、ダイアログインザダーク(DID)の日本版を主催した人の手記。 良いのはイベント自体への興味がわくこと。行きたい。もっと知りたい。悪いのは著者のマジョリティぶり。自分が知らないだけのことを「知られていない…

少年アヤ『少年アヤちゃん焦心日記』河出書房新社

アイドルにはまってて占いに依存して物質依存でオカマで機能不全家庭出身でアート系?で物書き?で……と、いろいろ濃いアヤちゃんの日記。 日記という体裁のエッセイとか評論とも見える。 ジェンダーとかアイデンティティとかマジョリティの鈍さとかの傷がわ…

J.K.ローリング 『ハリー・ポッターと死の秘宝』 静山社

ハリーポッター最終巻。つらいシーンや苦しい状況が目白押しだけど、ここにたどりつくための七年だと納得のいく決着だった。 この巻の序盤は、シリーズ中盤からどんどん増していく重さの最高潮だから、きつい。現実世界のそうだった過去や、そうなりかねない…

J.K.ローリング 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 静山社

ハリーポッター六年目。おっもいなー。どんどん重くなっていく。 いやがる奴隷の意志を無視して力で無理矢理従わせる役を主人公サイドに持ってきたり、悪い人じゃないけど保身が大事とか、悪い人だけど(自分の)家族は大事とか、この期に及んでまた難しいテ…

J.K.ローリング 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』 静山社

ハリーポッター五年目。過去あり大きな動きありでもりだくさん。早足のウサギたちが転びまくり、着実にすすんできたカメたちのかっこよさに(読み手が)救われる巻。老いも若きも男子は危機的傾向。女子たくましい。 きっとここは物語の中ですごく重要な時期…

J.K.ローリング 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』 静山社

ハリーポッター四年目。時代の恐ろしさがいよいよ過去だけのものではなくなってくる。こわいものから目をそらしてはいけない。 発売当時はこの巻まで読んだ。先に進まなかったのは、思春期アレルギーと、ファンタジーに重さを求めていなかったのが原因。と、…

J.K.ローリング 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 静山社

ハリーポッター三年目。両親の過去が少しずつ見えてくる。庇護者が万能でないことに気づく成長期。 最初の方でハーマイオニーの誕生日にちらりと触れるセリフがあった。そういえばハリーがもらうシーンはたっぷりあるけれど、あげるシーンはほとんどない。プ…

J.K.ローリング 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』 静山社

ハリーポッターシリーズ、二年目。差別や違いのテーマが更に鮮明。 「特別なハリー」の葛藤が、周囲の反応への戸惑いから自分自身への疑問にシフトしてきた。そうであるからといって、必ずしもそうならなくてもいい。という部分に泣きたくなる。昔は気づかな…

アルコ『俺物語!!(7)』集英社 Aセク読み

超男前高校生が主人公の少女漫画。 男前というか「漢」というか「おのこ」というか「アニキ」というか。 少女漫画なのに主人公がごつくて暑苦しい野郎な異色作品。 その7巻がAセク的に面白かったです。 恋愛ものなのに恋愛向きじゃない人を無視せず描いてく…

針間克己 『セクシュアル・マイノリティへの心理的支援―同性愛,性同一性障害を理解する』岩崎学術出版社

タイトル通り、心理職がセクシャルマイノリティのクライエントとかかわるための論文集。 副題がセクマイ=ゲイと性同一性障害かよ、という不安を誘う。 が、同性愛と性同一性障害に対象をしぼったのは執筆陣の経験や先行研究からきちんと書けるのはここだけ…

J.K.ローリング 『ハリー・ポッターと賢者の石』 静山社

昔一度読んだきりだけど最近の再燃を見ていたら読みたくなった。記憶通りに面白い、優良な児童書。居場所のない子供がみいだされて居場所をみつける王道の一巻は確実に安心して読める。 自分が大人になって、著者のLGBTフレンドリーな姿勢を知った上で読むと…