馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

2014-01-01から1年間の記事一覧

タカハシマコ『スズラン手帖』一迅社

百合短編漫画集。 ひとつひとつの話はごく短い。 でもちゃんと、女の子と女の子の話。 絵がすごくかわいい。 こんな可愛いくせに苦さを含ませて強い。 かわいさを貫くために必要な強さを持ってる。 思春期のなんちゃらと片付けられてしまう思いを片付けさせ…

地声と女子声

テレビをつけたら、40年くらい前のトーク番組の一部が流れていた。 出演者の中で端っこのほうにいた女の人がものすごく印象的で、名前を調べて検索したらわりと有名なレズビアン(当時はクローゼット)だった。 うん、絶対セクマイだと思った。 私はあんまり…

よしながふみ『きのう何食べた?』講談社

前から知っているし読んでいるんだけど、ふとこれはセクマイ待望の「セクマイが主役のただの漫画」なんだなって思った。 著者がBL作家の女性だからついBLのくくりで認識していたけれど、これは「BLコミック」でも「ゲイ漫画」でもなく、「料理漫画(主役はゲ…

セクシュアリティの定型と越境

最近たてつづけにアメリカのセクシャルマイノリティの本を読んだ。 読んだのは大人のゲイカップルが書いた本と、大人のゲイカップルを書いた本と、十代のトランスジェンダーたちに話を聞いた本。 3冊だけだけど、日本とは拒否反応のポイントがちょっと違う…

中村安希『リオとタケル』集英社インターナショナル

アメリカで成功を収めた演劇デザイナーカップルのノンフィクション(プライバシー保護のためフェイクあり)。 タケルは24歳で渡米した1949年生まれの日本人、リオは1953年ワシントン生まれの白人。 1976年に出会ってからずっと一緒に生きてきた。 著者はふた…

一色まこと『ピアノの森』講談社

待合室においてあったモーニングを読んだら、「ピアノの森」が素敵なことになってた。 何冊かあったうちの一冊なので最新号ではないかも。 コンクールの結果発表の回。 たぶん単行本にはなってないと思うので一応たたんでおきます。 ストーリーにかんするネ…

森奈津子『姫百合たちの放課後 』早川書房

アホでエロなレズビアン小説集。再読。 基本アホ。一皮むいてもアホ。 でもマイノリティの気持ちがぎっしり。 今現在の本気の思いを大人目線でわかった風に「誰でも通る道よ」なんてあっさり片付けてしまうことのひどさは、している側にはなかなかわからない…

パトリック・ジョセフ・リネハン『夫夫円満』東洋経済新報社

大阪・神戸アメリカ総領事館総領事(2011-2014)のパトリックと、その夫エマーソンの夫夫の半生記。 生まれも育ちも年齢も違うふたりの愛と、ゲイライツが主題。 文化的背景や感覚が私とは違うから違和感があったり、ふたりともゲイだからゲイ以外には疎いよ…

スーザン・クークリン『カラフルなぼくら』ポプラ社

アメリカで暮らす十代のトランスジェンダー六人へのインタビューをまとめた本。 トランスなのに副題がLGBTなのは、TのLとGとB(とI)の子たちの話だから。 他国の十代の生き様や考えを知ることができる良書。 語られるのはトランスの話だけど、この子たちが…

東小雪『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』講談社

『ふたりのママからきみたちへ』の筆者のひとり、東小雪さんの手記。 ということだけで手に取ったら大変だった。 でも納得もした。 こういう経験をして、乗り越えてきた人だからこれだけ考えられるんだろうとか、そういう部分で。 セクマイの本棚にいれるか…

ロブ・エプスタイン 『セルロイド・クローゼット』

ハリウッド映画で同性愛がどう扱われてきたかをまとめたドキュメンタリー。 隠され排除され、たまに登場するときには嘲笑の対象や恐ろしいモンスターとして貶められ殺されてきた歴史。 それでもどうにかすべり込ませてきた、消せない存在の歴史。 ひどい話だ…

水谷フーカ 『14歳の恋』3 白泉社

「大人っぽい」14歳どうしの思春期恋愛漫画。 主人公カップルもかわいいけど脇役好きだー。 まずは志木さん!今回もかわいいな! 自分で思ってるよりずっといい子でヤンデレになれない子。 実るかつったら(相手が強固なカップルだから)そりゃ難しいけれど…

東京MXテレビが虹色応援してた

東京MXテレビが東京レインボーウィーク2014応援企画ってのをやってた! http://s.mxtv.jp/cinema/20140420/ 気づくの遅かったー!でも嬉しい! TOKYO MXは自分で考えて作ってる感じが好きだー。 ローカル局とはいえ日本のテレビ局がこういう企画をできるなん…

中村明日美子『片恋の日記少女』白泉社

王道じゃない恋のお話の短編漫画集。絵が独特で面白い。マリオネットみたいな印象。バランスが悪い?というか、人のバランスとは違うけれど均整は取れている。 最初の『漢のブリ大根』がトランスジェンダーの子の話。実家を出て親には告げずに女子(というか…

牧村朝子 『百合のリアル』 星海社新書

ちょこっとだけ読んだ。 これいいなあ。そのうちちゃんと読みたい。 セクマイの本。だけど、みんなのセクシュアリティの本。 レズビアンというのはこういう人ででもこういうケースもあってゲイはこういう人だけどこんなパターンもありでトランスの人とこう重…

東小雪+増原裕子 『ふたりのママから、きみたちへ』 よりみちパン!セ

子供を生み育てることを検討中のレズビアンカップルが書いた「レズビアンとは」の本。 それだけでなく、マイノリティとして生きる、みんなが生きやすい多様な世界のための本でもある。 セクシュアリティのことも、セクシュアリティだけじゃない生きにくさの…

オスカー・ワイルド『幸福な王子』新潮文庫

「幸福な王子」はオスカー・ワイルドの有名な童話。 西村孝次翻訳の新潮文庫で読んだ。キラキラした銅像の王子に頼まれて、ツバメが越冬をずるずる先送りしながら王子の身ぐるみを剥いで貧乏人に配ってまわる、緩慢な自殺幇助みたいな話。 素直に本を読んで…