馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

性指向

NHKプレミアムドラマ『弟の夫』(第1回)

NHKプレミアムドラマ(全3回)の一回目。タイトルのとおり、亡き双子の弟の夫と会うことになったシングルファーザーの物語。 ゲイの話らしいのにLGBTドラマ、みたいなあおりがついていたから警戒しながらみた。制作と宣伝は別とはいえ、原作がよくてもメジ…

那木渡『恋愛不行き届き』竹書房(ネタバレあり)

ずっと互いに好きというか性的な目で見てたけど、なんやかんやでこじれまくるふたりが主役のBL漫画。クローゼットなゲイ(自覚あり、自覚なし)の大暴走な話なんだけど、そうならざるを得ない背景がきちんと存在しているのが面白いと思った。 あとがきに「(…

枝屋初 『ばけむこ』

セクシュアリティゆらぐなめくじファンタジーな和風web漫画(?) 説明がへたすぎて意味が分からないとおもうけれども、そういう話!すごい! ちゃんとなめくじがなめくじ!かたつむりもでるよ! かたつむり好き的にもマイナーなセクマイとしてもうれしすぎ…

小野ハルカ 『桐生先生は恋愛がわからない。』 小学館

まったく読む気のおこらないラノベ風タイトルのせいで萌え系とかハーレム系とかの恋愛漫画かと思ってたら、まさかの王道ハーレムに疑義を呈するAセク漫画だった! 主人公は生れてこのかた恋愛感情を抱いたことも恋にあこがれたこともない人。 アセクシャルか…

諫山創『進撃の巨人』講談社

今更ながらの話題作。 14巻まで読んだ。 タイトルは知っていたけれど、おおきいもの(物理的な意味じゃなくて)と闘う系の話にはあまり食指が動かないので興味を持たずにきた。 が、置いてあったのをなんとなく読んだら面白かった。 キャラクターのそれぞれ…

リンダ・ハーン『王さまと王さま』ポット出版

王子様とお姫様がしあわせになる話しかないのは教育上よろしくないよね。ということで作られたオランダの絵本。 王さまと王さま 作者: リンダハーン,スターンナイランド,Stern Nijland,Linda de Haan,Andrea Germer,アンドレアゲルマー,眞野豊 出版社/メーカ…

アルコ『俺物語!!(7)』集英社 Aセク読み

超男前高校生が主人公の少女漫画。 男前というか「漢」というか「おのこ」というか「アニキ」というか。 少女漫画なのに主人公がごつくて暑苦しい野郎な異色作品。 その7巻がAセク的に面白かったです。 恋愛ものなのに恋愛向きじゃない人を無視せず描いてく…

針間克己 『セクシュアル・マイノリティへの心理的支援―同性愛,性同一性障害を理解する』岩崎学術出版社

タイトル通り、心理職がセクシャルマイノリティのクライエントとかかわるための論文集。 副題がセクマイ=ゲイと性同一性障害かよ、という不安を誘う。 が、同性愛と性同一性障害に対象をしぼったのは執筆陣の経験や先行研究からきちんと書けるのはここだけ…

よしながふみ『きのう何食べた?』講談社

前から知っているし読んでいるんだけど、ふとこれはセクマイ待望の「セクマイが主役のただの漫画」なんだなって思った。 著者がBL作家の女性だからついBLのくくりで認識していたけれど、これは「BLコミック」でも「ゲイ漫画」でもなく、「料理漫画(主役はゲ…

中村安希『リオとタケル』集英社インターナショナル

アメリカで成功を収めた演劇デザイナーカップルのノンフィクション(プライバシー保護のためフェイクあり)。 タケルは24歳で渡米した1949年生まれの日本人、リオは1953年ワシントン生まれの白人。 1976年に出会ってからずっと一緒に生きてきた。 著者はふた…

一色まこと『ピアノの森』講談社

待合室においてあったモーニングを読んだら、「ピアノの森」が素敵なことになってた。 何冊かあったうちの一冊なので最新号ではないかも。 コンクールの結果発表の回。 たぶん単行本にはなってないと思うので一応たたんでおきます。 ストーリーにかんするネ…

水谷フーカ 『14歳の恋』3 白泉社

「大人っぽい」14歳どうしの思春期恋愛漫画。 主人公カップルもかわいいけど脇役好きだー。 まずは志木さん!今回もかわいいな! 自分で思ってるよりずっといい子でヤンデレになれない子。 実るかつったら(相手が強固なカップルだから)そりゃ難しいけれど…

中村明日美子『片恋の日記少女』白泉社

王道じゃない恋のお話の短編漫画集。絵が独特で面白い。マリオネットみたいな印象。バランスが悪い?というか、人のバランスとは違うけれど均整は取れている。 最初の『漢のブリ大根』がトランスジェンダーの子の話。実家を出て親には告げずに女子(というか…

東小雪+増原裕子 『ふたりのママから、きみたちへ』 よりみちパン!セ

子供を生み育てることを検討中のレズビアンカップルが書いた「レズビアンとは」の本。 それだけでなく、マイノリティとして生きる、みんなが生きやすい多様な世界のための本でもある。 セクシュアリティのことも、セクシュアリティだけじゃない生きにくさの…

堀江有里『「レズビアン」という生き方―キリスト教の異性愛主義を問う』 新教出版社

牧師でレズビアンの著者が語る日本の今のキリスト教会内の異性愛主義。 キリスト教という宗教の中の、ではなく日本のキリスト教会という団体内の話。 なんか宗教上どうのっていうより保守というか躾のなってないおっさんに牛耳られた団体ゆえの問題、という…

水谷フーカ 『14歳の恋』1,2 白泉社

大人びた外見の男の子と女の子の恋がメインの思春期漫画。 思春期ど真ん中の過剰な自意識に阻まれて、人目が気になるあまりに好きな人と一緒に帰ることさえできない。 そんな14歳のお話。 このこたちが気にしているのは大人からみればものすごくどうでもいい…

竹宮ジン『ラブフリッカー 』一迅社

女子×女子のちょっとつながってる短編漫画集。 セクシュアリティの在り方が普通なのがすごくいい。 ヘテロが上から目線で「ああかわいそう」「ああ切ない」と消費するための百合じゃない。 無自覚なヘテロが押し付けてくる葛藤萌えや悲恋ドリームなんか歯牙…

竹宮ジン 『想いの欠片 1』 白泉社

レズビアンもヘテロもゲイもいるオムニバス漫画。色んな子の当たり前を当たり前に描いている。 かっこいいレズビアンもずるいヘテロもアホなゲイもみんな魅力的。"性別じゃなくて人によるんじゃないかな"というセリフの通り、その人だからこその魅力が表現さ…

ジブリ×アリエッティ≠メアリー・ノートン

テレビをつけたらアリエッティのCMをやっていた。 恋がどうとかってナレーションがついていた。 …うん、まあジブリだし… そういえば公開されたときにあれが恋物語になっちゃったら嫌だなあと思ったんだった。 子供の頃メアリー・ノートンが大好きで小人たち…

清水尚『All we need is Love』講談社

アメリカの(?)同性カップルとその子どもたちの写真集。 食事をしたり、テレビを見たり、おもちゃで遊んだり、プールに入ったり、ひなたぼっこをしたりする、普段暮らしている場所での家族の風景。 なんかもう、すっごいにやにやする。 裕福そうな白人男性…

ビッグイシュー152号

わりと近くで売っているのに、タイミングが合わなくて買えずにいたビックイシュー152号をやっと買った。10月1日発売の分。 ちなみに1日と15日の月2回発行だけど、販売員さんに言えばバックナンバーも売ってもらえるみたいです。 152号はムーミンの作者、トー…

私の希望は私だけが望める

教員だか元教員だかが、殺された教え子を偲んで絵だか本だか歌だかを作ったよというニュースをみた。 殺された女の子は生きていたら今いくつで、働いたり結婚したり子ども生んだりして、きっと幸せに暮らしていただろうに、無慈悲に未来を断ち切られてしまっ…

砂川秀樹『カミングアウト・レターズ』太郎次郎社エディタス

近くから「結婚しろ」とか「家族は必要だよね」的なことを言われました。 しにたいです。 そういえばカミングアウトレターズを読みました。 2年くらい前に。 感想書こうと思ってメモをしたのにそのまま忘れてました… カミングアウト・レターズ 作者: 砂川秀…

『タンタンタンゴはパパふたり』

動物園のペンギンが主役の、実際にあった話をもとにした絵本。 放棄された卵をオス同士のつがいにあてがってみたら無事に育てたよ。という話。 翻訳はオープンなレズビアンとして初めて府議になった尾辻かな子さん。 同性カップルも育児放棄もそれを拾う養い…

平野広朗『アンチ・ヘテロセクシズム』パンドラ

いやなことは「いやだ」と言う。 こんな当たり前のことが、これまで、ゲイにはできなかったのだ。 平野広朗『アンチ・ヘテロセクシズム』パンドラ タイトル通り、異性愛至上主義の社会にNOを言うのがこの本。 94年出版ですが、ほぼ90年や91年に書かれたもの…

レベッカ・ブラウン『体の贈り物』

死ぬのって、救いになりうると思う? 体の贈り物 (新潮文庫) 作者: レベッカブラウン,柴田元幸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2004/09/29 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 28回 この商品を含むブログ (78件) を見る 末期のエイズ患者の世話をするヘル…

『有頂天ホテル』

有頂天ホテルをようやく観てきました。 面白かったー。 「みんなのいえ」を観てから行くとより楽しい。 こういう小ネタ、大好きです。 「自分の存在が、知らない間に誰かに影響を与えている」というテーマらしく それぞれの勝手な言動が重なり合って はりめ…

桐野夏生『グロテスク』 Aセク読み

本を読むとき、気に入ったフレーズをメモしています。 あとで思い出すよすがになるし、引用にも便利。 どこが印象に残るかで、自分の今の状態がわかったりもします。 で、そんな気になる言葉たちをながめていました。 桐野夏生『グロテスク』の言葉です。 ま…

メゾン・ド・ヒミコ

だいぶ前に見たんですが、そろそろDVDになるみたいですね。 非常に良かったです。以下ネタバレ注意。 舞台はゲイのための老人ホーム。 ってこの設定をみて、荒唐無稽なファンタジーと感じる人と、切実に必要だよね、あったらいいよねと思う人とで感想が変わ…