宮部みゆき『模倣犯』小学館
主要キャラクターのひとり、高井和明は善良でまぬけで不器用だ。
凶悪な犯罪の正体を理解したとき、大事な友達だけを必死で助けようとする。
ひとりに執着してるけど、方向性としてはホモソーシャル。
彼は個人プレーがひきおこす「よくないこと」の可能性がみえないほど馬鹿じゃないようにみえる。
わかっていて突っ走ったようにもみえるし、うまくできなかっただけにも見える。
頼られる人になるための方法を知らなくて、ようやく「頼られる人は頼れといえる人なんだ」と発見したばかりで、まだ実践したことはないから。はじめてだから。
でもやっぱり、この人にとって大切なのはたった一人だけだったんじゃないかと思う。
読んだの:2003年3月