馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

フィクション

菅野文『オトメン』白泉社

何年か前に何冊か読んだ少女漫画。 この話の主人公は容姿端麗文武両道品行方正で性格もいい男の中の男。 でも実は乙女趣味(シスジェンダーヘテロだけどガーリーなのが好き)。 男らしく育てたい母親の期待に応えてしっかり男をやっていて、だからかわいらし…

水谷フーカ 『14歳の恋』1,2 白泉社

大人びた外見の男の子と女の子の恋がメインの思春期漫画。 思春期ど真ん中の過剰な自意識に阻まれて、人目が気になるあまりに好きな人と一緒に帰ることさえできない。 そんな14歳のお話。 このこたちが気にしているのは大人からみればものすごくどうでもいい…

竹宮ジン『ラブフリッカー 』一迅社

女子×女子のちょっとつながってる短編漫画集。 セクシュアリティの在り方が普通なのがすごくいい。 ヘテロが上から目線で「ああかわいそう」「ああ切ない」と消費するための百合じゃない。 無自覚なヘテロが押し付けてくる葛藤萌えや悲恋ドリームなんか歯牙…

竹宮ジン 『想いの欠片 1』 白泉社

レズビアンもヘテロもゲイもいるオムニバス漫画。色んな子の当たり前を当たり前に描いている。 かっこいいレズビアンもずるいヘテロもアホなゲイもみんな魅力的。"性別じゃなくて人によるんじゃないかな"というセリフの通り、その人だからこその魅力が表現さ…

遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』小学館

まじめにかかれた若年層向けセクマイ小説。 マンゴスチンの恋人 (小学館文庫) 作者: 遠野りりこ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/09/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る マンゴスチンの恋人 著者 : 遠野りりこ 小学館 発売日 : 2011-08-29 …

デイヴィッド・ウォリアムズ『ドレスを着た男子』福音館書店

綺麗なお洋服が好きな男子が綺麗なお洋服が好きな女子と出会う。女子の提案(というか軽い悪ふざけ)で男子は女の子の服を着てみる。 そんな児童書。 いい意味でも悪い意味でもマイノリティ性が軽い。 誰もが持つ当たり前の人と違う部分、という軽やかさと、…

ジブリ×アリエッティ≠メアリー・ノートン

テレビをつけたらアリエッティのCMをやっていた。 恋がどうとかってナレーションがついていた。 …うん、まあジブリだし… そういえば公開されたときにあれが恋物語になっちゃったら嫌だなあと思ったんだった。 子供の頃メアリー・ノートンが大好きで小人たち…

ルースマニング=サンダーズ 『魔女の本』

子供のころ大好きだった、テーマ別民話選集。 復刊ドットコムありがとう!これは一番好きだった魔女の本。 あれ、魔女わるくないよな?どっちかってぇと主人公たちがひどいのが多いよな?魔女の話はかなしい。昔はわくわくするだけで良かったのに、今は魔女…

エリザベス・フェラーズ トビーとジョージシリーズ 創元推理文庫

1940年代に書かれたバディもの探偵シリーズ。 当時の現代小説だから舞台が古いけれど、人の描き方に古さがないから今読んでも違和感がない。 進歩的ってわけじゃなくて、普遍。 古典の名作を読むと人ってそうそう変わらないんだなって思う、あの感じ。 女だ…

宮部みゆき『模倣犯』小学館

主要キャラクターのひとり、高井和明は善良でまぬけで不器用だ。凶悪な犯罪の正体を理解したとき、大事な友達だけを必死で助けようとする。 ひとりに執着してるけど、方向性としてはホモソーシャル。 彼は個人プレーがひきおこす「よくないこと」の可能性が…

西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』講談社

久世光彦に騙された・・・。 電車内で時間が余ってかつ他に手持ちの本がなく、座れなかったから寝るわけにもいかず、たのみのウォークマンは電池切れだった。 という状況下だったので読み終えました。 不快。 とても不愉快。 平行して読んでいたのがDV加害者を…

梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』角川書店

――エフェンディ、あんたは真実を勉強するんだ。 村田エフェンディ滞土録 (角川文庫) 作者: 梨木香歩 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2007/05 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 40回 この商品を含むブログ (123件) を見る 家守綺譚と同じ世界観で書か…

レベッカ・ブラウン『体の贈り物』

死ぬのって、救いになりうると思う? 体の贈り物 (新潮文庫) 作者: レベッカブラウン,柴田元幸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2004/09/29 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 28回 この商品を含むブログ (78件) を見る 末期のエイズ患者の世話をするヘル…

映画の無自覚「エミリー・ローズ(予告編)」

映画館で流れる予告編のなかに『エミリー・ローズ』のものがありました。 内容には興味がないんですが「少女に起こったことは病気なのか悪魔に取り憑かれたのか」みたいな話らしいです。 で、予告編のなかで少女(取り憑かれ状態)が悪魔払いにやってきた神…

『有頂天ホテル』

有頂天ホテルをようやく観てきました。 面白かったー。 「みんなのいえ」を観てから行くとより楽しい。 こういう小ネタ、大好きです。 「自分の存在が、知らない間に誰かに影響を与えている」というテーマらしく それぞれの勝手な言動が重なり合って はりめ…

桐野夏生『グロテスク』 Aセク読み

本を読むとき、気に入ったフレーズをメモしています。 あとで思い出すよすがになるし、引用にも便利。 どこが印象に残るかで、自分の今の状態がわかったりもします。 で、そんな気になる言葉たちをながめていました。 桐野夏生『グロテスク』の言葉です。 ま…

桐野夏生『グロテスク』

天上には蛍光灯が埋まっていて、あたしの顔色を青く冴えなくする。だから、いつも赤い口紅を塗っていなくてはいけない。口紅とバランスを取るために、アイシャドウも青く。そうなると目と口だけが目立つから、眉も濃く描かなくてはバランスが取れない。どん…

梨木香歩『家守綺譚』

――おまえにそれを語る言葉を、俺は持たない。 人の世の言葉では語れない。 ――しかし俺はそれを言葉で表したいものだと思う。 家守綺譚 (新潮文庫) 作者: 梨木香歩 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/09/28 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 69回 こ…

メゾン・ド・ヒミコ

だいぶ前に見たんですが、そろそろDVDになるみたいですね。 非常に良かったです。以下ネタバレ注意。 舞台はゲイのための老人ホーム。 ってこの設定をみて、荒唐無稽なファンタジーと感じる人と、切実に必要だよね、あったらいいよねと思う人とで感想が変わ…

ジャッキー・ケイ『ストローガール』求龍堂

ほんとうに守りたいものがあるなら戦え。 じぶんの手から離れていくのをだまってみているな。 じぶんの手には負えない、なんていってはだめ。 そんなことをいってると最悪の事態になる。 あたしにできることはまだいくらでもある。 『ストローガール』ジャッ…