小野ハルカ 『桐生先生は恋愛がわからない。』 小学館
まったく読む気のおこらないラノベ風タイトルのせいで萌え系とかハーレム系とかの恋愛漫画かと思ってたら、まさかの王道ハーレムに疑義を呈するAセク漫画だった!
主人公は生れてこのかた恋愛感情を抱いたことも恋にあこがれたこともない人。
アセクシャルかもしれないけどそうともいいきれるほどの確信もない。
この辺の迷いがリアルにアセクシャルっぽい。
というか、同性愛者かとも思ったけど違うみたいだしもしかするとアセクシャルやノンセクシャルとか✗ジェンダーも近いかもしれない、と自己を分析する主人公がでてくる漫画を出版社が出す時代がこんなに早くくるなんて数年前には想像もできなかった。
私はアセクシャル(多分)が出てくるだけでもうありがとうございますな状態なので正常な判断ができないんだけど漫画としても面白いと思う。
社会派漫画が描きたいけれど大人の事情で大嫌いなハーレム漫画を描いたら大当たりしちゃってストレスだけど大人だから真面目に仕事するよ!っていう主人公がとても常識的で好き。
で、乙女ゲーでいうところの攻略対象な男子もいい感じだからくっついちゃってもいいような気がしちゃうのが怖い。
アセクシャル的にはアセクシャルをつらぬいてほしいんだけど、どっちに転んでも面白そうだからどうしよう続きを読むのが怖い。
男子たちにも幸せになってほしいけど、アセクシャルがヘテロセクシズムに飲み込まれて教化されちゃうパターンは読みたくない。
ああなんだか昔のゲイやレズビアンが自分たちの出てくる本を読み漁ったり忌避してた気持ちがようやくわかった気がする。
今の百合やBLみたいにジャンルとして成立するほどたくさん作品があれば、ハッピーエンドもバッドエンドも気に入るのも気に入らないのもあるのが当たり前だ。
けど、めったにセクマイが出てこない世界では一作品の重みがでかすぎる。
どうなるのかなこれ、完結してるっぽいけどネタバレはさけたいからレビューも読めないわ。
追記
つづきを読んでみた。
higirisbookshelf.hatenablog.com