馬脚チラリズム

馬脚チラリズム

セクマイ的感想文置き場。本とか本じゃないものとか。

三田織『白のころ』東京漫画社

BL漫画の短編集。
セクシャルマイノリティものではなく、ほのぼの系日常BL。
だけど、「まほうのおくすり」の親子関係が妙にリアルでなんかうわーってなった。
Xメンのキュアみたいなおくすりをつくりたいおかあさんの息子の話。
描き方は重くない。おかあさんも自己否定もつらいこともみんな回想だからかな。
でも受け取るマイノリティとしてはずしっとくる。

おかあさん(親)からの言葉って子供にとってはすごい重みがある。
お母さんは子供に幸せになってほしいから普通にさせようとするし、「そんなんじゃ幸せになれない」のを恐れて、自分にできることをしようとする。
でも、そんなのは子供からしたら「お前は幸せになれない」という呪いにしかならない。

今ここにいるその子を否定するやり方は呪いでしかないけれど、でもこの話の「おくすり」の中身は恥や断罪ではなくあくまで子の幸せを祈るもので、やさしい。
重くて、やりきれなくて、でも愛なのは本当で、切り捨てにくくて苦しい。
主人公があんまり苦しんでない(トラウマ萌えな描き方じゃない)からちょっとほっとする。

 

娘の安全や幸せを願って女性差別を再生産してしまう母親たちの話、たとえば割礼だったり結婚圧力だったり『タブー』http://booklog.jp/users/melancholideaの話だったりを連想する。

 

 

白のころ (マーブルコミックス)

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タブー―パキスタンの買春街で生きる女性たち

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